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「みどり深くに」

一年で一番みどりの薫る日に 小さなもの達の宴が開かれます。
彼らにはその日が来ると、すぐ分かります。
示し合わせたように みどり深くに集まって、ささやかな祝福の宴を始めます。

  「やぁ、今年も来ましたね。」
            「今年のみどりは上出来だなー。」
   「向日丘にはもう行ったかい?みどりの芳しいこと。」
        「あれ、こないだ生まれた隣村の子?随分立派になったなぁ。」
「おい君、ずいぶんと痩せたじゃないか。」
                           「あっちにお菓子があるぞ!」
    「思わず採ってきちゃった。とてもいい香りがするの。」
                    「今年は誰が当たりを引くかな?」

小さなもの達の小さな声は 一日中にぎやかに、健やかに、かわいらしく、
柔らかで強かなみどりと共鳴します。